KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年3月号
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製品やサービスを、他社に先駆けて開発して、販売する姿勢が重要だと考えています。そして、もっと言えば、「環境対応」のようなスケールの大きな課題になってくると、世の中の全員で取り組まなければ解決できません。そう考えたときに、他社も同じように追いかけることで広がりを見せ、多くの人がそのメリットを享受し、世の中が変わっていくようなことに重きを置きたい。それで、「差別化」よりも「先行化」を念頭に置くべきだという考えを、日ごろ、社内の研究者や技術者と共有しています。「先行化」を代表するような製品は何でしょうか?1つはタイヤのセンシング技術です。住友ゴム独自のタイヤセンシング技術「センシングコア」は他社よりも早く、1997年に当社が実用化した空気圧低下警報装置「DWS」の技術がベースとなっており、タイヤの空気圧、摩耗状態、荷重や滑りやすさをはじめとする路面状態を検知する技術です。この技術は、来るべき自動運転社会やサスティナブルな社会にさまざまな面で貢献できると考えています。もう1つは、2013年に発売した、世界初の100%石油外天然資源タイヤです。これは2000年の初め頃、石油枯渇が危惧されたときにその課題解決案として開発しました。しかし、発売までの間にシェール革命が起こり、石油枯渇を懸念する声がトーンダウンしてしまいました。それでも、その後もサスティナブルなタイヤの原材料の開発を続けていました。すると現在になって、今度は環境問題に直面し、改めてこの技術の重要性がクローズアップされています。私自身振り返ると、2013年の時には、天然資源タイヤを作ることが目的になって、「何のためにそのタイヤを作るか?」という本来の意味が開発の過程で薄れていたのかもしれません。しかし、現在思うのが、「何のために私達がそれをやらなければならないか?」というところにフォーカスし続けることが大事だと思います。それができていれば、早い段階で、もっともっとサスティナブルへの対応ができたかもしれません。タイヤ開発のお話が出てきました。話題は少し戻りますが、そもそもEVタイヤと普通のタイヤは何が違うのでしょうか?基本的にタイヤの性能というのは、①ドライバーの思うように走る・曲がる・止まるなどの動作が「グリップ性能」②長く使えるかという「耐摩耗性能」③走行できる距離の効率性を指す「燃費性能」で、背反性能を持EV化時代、タイヤは自動車の発展のカギを握っている!33

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