KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年3月号
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1995年1月13日、羽生善治さんが私に挑戦する王将戦第1局に先勝し、その4日後の17日、阪神・淡路大震災が起きました。私も東灘区六甲アイランドの自宅で被災しましたが、幸いそれほど大きな被害は受けずにすみました。次の対局が控えていたので19日に大阪へ避難し、温かい食事をしてお風呂に入ったとき、当たり前だと思っていたことが実はそうではないと気付かされました。20日の対局で盤の前に座り、将棋が指せるというのはとても幸せなことなんだと思いました。震災はとても不幸な出来事でした。でも30歳を過ぎて負けることも多くなった厳しい時期の私を原点に戻してくれました。「好きな将棋を続けたくてプロ棋士になったのに勝つことばかり考えていた。将棋を楽しもう」と思えるようになりました。皆さんは小学校に入ると震災のことを勉強すると思います。気にしすぎる必要はないのですが、「もしこんなことが起きたらどうするか?」を時々はご家族で話し合ってください。1月1日に起きた能登の震災でたくさんの方が寒い中、辛い思いをされています。今、こうやって家族が離れ離れになることもなく、温かいご飯やお風呂があることが「決して当たり前のことではない」と、時々でいいので思い出していただけたらいいなと思います。分かりやすく将棋を解説する「5さいからはじめるしょうぎ」「しょうぎのくにのだいぼうけん」。子どもさんが小さいときに読み聞かせたという「きょうのおべんとうなんだろな」「どこでおひるねしようかな」「まえむき よこむき うしろむき」谷川浩司十七世名人お勧めの本「将棋が好き」という原点に戻してくれた、29年前の震災26

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