KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年3月号
141/148

日本三大稲荷(諸説あり)に数えられる千ちよほ代保稲荷神社(愛称・おちょぼさん)。特筆すべきはその参道にある。約120もの店舗が軒を連ね、特に毎月末から翌1日にかけて行われる「月越参り」は夜通し賑わう。洋品店や漬物屋、八百屋、乾物店などバラエティに富んでいるが、飲食店も多い。昔ながらの川魚を扱う店や草餅を売る店、餃子の皮を油揚げにした「稲荷餃子」が人気の「餃子工房いろどり」など新しい味もある。串かつ店は約20軒あり、そのほとんどが店先に立ち食い席がある。大人も子どもも一緒に次々と揚げられる串を手に取り、ソースや味噌をつけて食べ、会計は串の本数。幼き頃から親しむ串かつの味と雰囲気が、連綿と受け継がれている。名瀑・養老の滝がある養老公園へと向かう。孝行息子が見つけた若返りの名水に時の天皇が噂を聞きつけ行幸した逸話が残る。養老公園は県営として2023年に100周年を迎えた。この公園内に不思議なテーマパーク「養老天命反転地」がある。当たり前のことが当たり前でなくなる不思議な場所。自分で考え体感する芸術作品だ。写真は撮り方次第でSNS映えして面白い。養老の滝へは「養老の滝入口駐車場」から30分ほど歩くことになる。この道中が楽しい。「親孝行のふるさと会館(冬季休館)」では、映像で養老の滝にまつわる伝説を紹介。「ひょうたんらんぷ館」の瓢箪ランプの美しさに驚かされる。喉が渇いたなら「復刻養老サイダー」がおすすめ。瓶には日本最初の文字。神戸っ子としては「日本最初は有馬サイダー」と反論したいところだが、飲み比べてみたい。長い坂を登れば養老の滝だ。美しい。紅葉や桜、新緑の季節は、この滝に会いに行くだけでも価値ある旅になるだろう。千代保稲荷参道© 1997 Reversible Destiny Foundation. Reproduced with permission of the Reversible Destiny Foundation1日目 昼千代保稲荷神社(海津市)1日目 午後養老公園(養老町)串カツ店が20軒もある(写真は「豊まる」)復刻養老サイダー床と天井が対照的な部屋。天地を反転させた写真141

元のページ  ../index.html#141

このブックを見る