KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年3月号
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Vol.03シアトル市の里親・養親さがしのキャンペーン活動愛の手運動は親に育てられない子どもたちに、里親・養親を求める運動です。募金箱の設置にご協力いただける方は協会にご連絡ください。公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市総合福祉センター2FTEL.078-341-5046 https://ainote-kobe.orgE-MAIL:ainote@kjd.biglobe.ne.jp昭和43年、アメリカの福祉を学ぶため、神戸市と姉妹都市のシアトル市に半年間滞在しました。最初に訪れたのは、ワシントン州で里親・養子縁組の活動を行っている民間団体でした。親と暮らせない子どもたちに里親や養子縁組家庭を求めるために、シアトル市では「シアトルタイムズ」という地元紙に「サンデイチャイルド」(日曜日の子ども)というコーナーを設け、そこに毎週、里親や養子縁組の必要な子ども達を紹介していました。特に思春期や、マイノリティの子ども、病気やハンディキャップを持つ子どもなど、里親や養親を見つけるのが難しい子どもたちを、メディアの協力を得て広く地域に広報するわけです。このメディアとタイアップしたキャンペーンが、神戸新聞とラジオ関西(兵庫)、毎日新聞(大阪)の里親さがしの「愛の手運動」のモデルとなったのです。もう60年前のことですから、大変息の長い活動が今も神戸で続けられているわけです。このシアトル市の団体を最初に訪れた時、「里親を探す広報活動について学びたい」というと、広報担当のスタッフが「私があなたにどういう印象を与えるかが、大事な広報になるのです。あなたが私に良い印象を持てば、この団体への信頼や活動への関心を持って下さるでしょう。逆に悪い印象や嫌な経験をすれば、あなたはこの団体に不信感を持ち、協力したいという気持ちを持てなくなるでしょう」と話されました。この言葉は今も心に残っています。電話の応対一つにしても、声の調子や、応答の仕方、話し方、専門的な知識の度合い、等がその団体への印象を左右するので、職員一人一人が広報マンなのです。この団体は、私が所属する家庭養護促進協会が10年間に委託した子どもの数を1年間で上回るほどの多くの子どもたちを里親や養親に委託していましたが、時代と共に養子の子どもたちが減少し、20年後に再び訪れると、養子縁組の斡旋は中止していました。出会いと学びの旅から公益社団法人家庭養護促進協会事務局長橋本 明111

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