KOBECCO(月刊 神戸っ子)2024年3月号
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多く、「浮腫」で困っている患者さんに対する専門外来も始めました。―原因が分からない症状の患者さんに対して、総合内科では何から始めるのですか?まずは問診と診察です。患者さんが診断名を教えてくれるわけではありませんので、有益な情報を聞き出し、診断にたどり着くためのキーワードを見つけることが重要です。そのためには患者さんやご家族の話をじっくり聞くのは当然ですが、患者さんの表情や診察室への出入りの仕方なども、血圧や呼吸などのバイタルサインや身体診察と合わせて参考になります。得られた情報からどんな病気なのか仮説を立てて必要な検査に進みますが、例えばコロナ抗原検査が陰性でもご家族にコロナ患者さんがいれば、コロナ感染は否定できません。100%白黒つく検査はなく、検査結果をどのように解釈するかは問診や診察からの情報が大きく影響します。今後AI(人工知能)の進歩が診断の助けになるかもしれませんが、そのAIに判断させる大事な患者さん情報を問診や診察から得る能力は引き続き我々医師に求められると思いますので、その重要性を学生たちにも指導しています。―結果が出たら専門診療科への橋渡しをするのが総合内科の役目ですか?あらゆる診療科が揃っている神戸大学では、我々が診断し専門診療科にバトンタッ気です。他の病気に合併しやすく、特にがん患者さんはそうでない人の約5倍発症しやすいと言われています。元の病気がどんな状況でどんな治療を受けているのかを把握しながら血栓症治療を進めなくてはいけません。もともと私が循環器内科を専門にしていたこともありますが、他の診療科と関わる機会も多い総合内科で専門外来を始めることになりました。8割以上は足の静脈に血栓ができ、主な症状は「足の浮腫(むく)み」です。しかし足の浮腫みの原因は多岐に渡り、立ったり座ったりの日中に水分が足に移動することで夕方になると足が浮腫み、朝には軽減する日常生活に伴う浮腫みがある一方、長年原因不明のまま患者さんもかかりつけ医の先生も困っているケースが意外と104

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