KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年2月号
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ドという縦軸があって、横方向に水道筋商店街、そして阪急の高架下があり、ここにおしゃれなギャラリーや家具工房、ダンススタジオなどの面白いスポットが入っているんですね。ちょっと前までは東京とここにしかないハンドメイドの日傘の専門店があったのですけど、コロナで撤退してしまって。阪急の高架下はきれいにしたいのでしょうし、王子公園もリニューアルが議論されていますけれど、全部つるんとしてしまうのも味気ない。時間の蓄積によって生まれる魅力もあると思います。田岡 歩ける人は歩いたらいいんですけれど、そうじゃない人には貸し出し用の電動キックボードや何人かで乗れるカートを用意するなど、このエリアにあったらいいなと思うのはそういう交通の便に関してだけですね。その他に関してはもうすべてがここにあるので、これ以上の観光のものはいらないと思います。何だったらもう、コンクリートを剥がして土に戻すくらいの方向に行ってほしい(笑)。もう一つ、アートの周りにベンチを1つ置くのがいいなと思っています。新宮 晋さんの「遥かなリズム」という風で動く作品があります。いまは海辺にあるのですが、もとは兵庫県立近代美術館(現・原田の森ギャラリー)にあったそうで、私の知人が幼い時にお父さんと一緒に作品の前のベンチに座って見ていたのをよく覚えていますという話をしていました。各アート作品の周辺にちょっと休憩できるスペースがあればいいのかなと。気負わず自分なりの解釈を耳美 最後に、普段の生活でのアートの楽しみ方や付き合い方のコツについて、簡単にアドバイスをいただければ。山本 いきなりすごく大きなテーマで焦るんですけど(笑)。美術館に赴任してきた新しい総務のスタッフは、たいてい「私美術はよくわからないんです」とおっしゃるんですが、僕はその気持ちがよくわかるんですよ。と言うのも、かつては僕自身がそうで、どちらかといえば美術に興味がなかったから。だから当然、絵の見方なんかわからなかったんです。ところが最初の上司の故河﨑晃❽「遥かなリズム」 新宮 晋 1979年95

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