KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年2月号
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お話の後には加藤さんや画家の石阪春生さん、小説家の筒井康隆さん、ミュージシャンの小曽根実さんらが集った「バーボンクラブ」についての質問に笑顔で答え、メンバーの一人、新井満さんが手がけた「バーボンクラブの歌」を軽やかな歌声で披露した。なお、この会はトアロードのシンボルであるアーチのリニューアルを目的としたイベントで、新しいアーチはこの春にもお目見えする予定だ。の暗示だった」と受け止めていたことも興味深い。それをきっかけに作家一本となり、以降、『青玉獅子香炉』『阿片戦争』など数々の名作を世に送り出していったことはご存じの通り。台湾にルーツを持ち、神戸で生まれ育ち、日中友好に努め、中国やシルクロードの歴史や文化のみならず空海や能など日本の精神性にも造詣が深かった陳さんを、加藤さんは「国際都市・神戸を象徴する人物」と評し、生田神社と神戸の起源、国際宗教都市としての神戸と神道の寛容さについても語った。最後は会場に飾られていた陳舜臣さんの書を解説。これは加藤さんの依頼で書かれたもので、その際に陳さんが「酒でも呑まんと字なんて書かれへんよ」と4合も杯を重ねてからやって来て筆を執ったというエピソードに、客席からは笑いが。そして「神戸市は陳舜臣さんをもっと顕彰する必要があるのではないか」と提言し締めくくった。51

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