KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年2月号
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に転じ、やがて「トアロード」となったという陳さんの説が的を射ているのではと加藤さん。続いて陳さんと生田神社についての話題に移り、生田神社の社報に寄稿した陳さんのエッセイをいくつか紹介。そこでは戦災に遭った生田神社のようすも描かれ、陳さんは幼い頃に自分の故郷を重ね合わせた生田の森に、戦争で傷ついた心を励まされたという。ちなみに、空襲で焼失した社殿を再興したのは加藤さんの父で、多賀大社、吉備津彦神社も復興し「造営宮司」とよばれていたそうだ。「阪神・淡路大震災で社殿が倒壊したとき〝お前は神社を建てたことがあるか?神職ならば必ず建て直せ〟という父の声がしたんです」という逸話も。また、貿易会社に勤めながら小説を書いていた陳さんが、江戸川乱歩賞受賞の一報を耳にする直前に鞄の取っ手が切れたことを、「職業を変えろという生田の神50

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