KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年2月号
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を追いかけている気がする。年々、凄さに気づいて、畏敬の念が生まれている。クロスワードみたいに全ての方向から美しい。緻密な計算のもとに作られた完璧な音楽です。 言葉にするのは難しいですね。理屈じゃない。音で伝えるしかないですね。Q.五重奏を意味する“キンテート”。聞き慣れない言葉です。三浦 スペイン語でピアソラが考案したバンド編成です。色々試して作って壊して、たどり着いた編成ということがわかっています。 ピアソラは作曲に関しても同じで、作る、壊すを繰り返して、楽譜はほとんど残っていません。ガラスケースに入ったものを、たまにありがたく見る程度。後に第3者が編曲したものを使うか、奏者が自分で楽譜をおこす、いわゆる耳コピして演奏している感じです。Q.楽譜がない?バッハはあるのに? ※ピアソラ1921年生まれ、バッハ1685年生まれ三浦 “遺す”ってことに意味を感じていなかったみたい。バカンスで訪れた海に、大量の楽譜をブワッと投げ捨てたっていうエピソードが残っています(笑)。 バッハやモーツァルトは、楽譜は遺っているけど音源や映像はない。ピアソラは逆。音源も映像もあるけど楽譜がない。でも僕としてはありがたいです。本人の演奏は何よりの資料ですから。時には映像を拡大して、この指を押さえているからこの音だなとか細かく探っている。大河ドラマの時代考証みたいな作業です。Q.これからやってみたいことは?三浦 町の中の小さな仮設ステージで演奏するとかいいですね。ヨーロッパではよくあるんです。夕暮れ時、お客さんはワインなんかを飲みながら。通りすがりの人が「何の音?」って立ち止まって聴いてくれたりして。ホールにこだわらず、聴いてくれる人がいるならどこでも演奏したいという気持ちがあります。 それから、いろんな人や楽器とコラボレーションしたいです。僕自身が音楽をもっともっと楽しみたいですね。photo・黒川勇人text・田中奈都子三浦一馬 Kazuma Miura(バンドネオン)プロフィール10歳よりバンドネオンを始める。2006年別府アルゲリッチ音楽祭にてバンドネオン界の最高峰ネストル・マルコーニと出会い、その後自作CDの売上で渡航費を捻出してアルゼンチンに渡り、現在に至るまで氏に師事。2008年国際ピアソラ・コンクールで日本人初、史上最年少で準優勝。2014年度出光音楽賞を受賞。2017年自らが率いる室内オーケストラ「東京グランド・ソロイスツ」を結成。2022年、三浦一馬五重奏団によるピアソライヤーの最後に相応しいアルバム「ピアソラ スタンダード&ビヨンド」を日本コロムビアよりリリース。NHK大河ドラマ「青天を衝け」の大河紀行音楽演奏を担当するなど若手実力派バンドネオン奏者として各方面から注目されている。公演情報『三浦一馬キンテート〜熱狂のタンゴ〜』出演:三浦一馬(バンドネオン)、 石田泰尚(ヴァイオリン)、 黒木岩寿(コントラバス)、 大坪純平(ギター)、 山田武彦(ピアノ)日時:3月27日(水)15:00開演料金:4,000円(税込)※全席指定会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール問合せ:キョードーインフォメーション116

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