―病気の予防で心掛けることはありますか。子宮頸がんはワクチン接種で予防できることをぜひ知っていただきたい。先進国では患者数が減少したにもかかわらず、接種に対して消極的になった時期がある日本では増加しています。原因のほとんどがヒトパピローマというウイルスですが、10代で性交渉のない時期にワクチンを接種すると効果的に予防ができます。―年齢を重ねてから受けても意味がないのですか。ワクチンの有効性は低くなります。そこで重要になってくるのが検診です。日本では子宮がん検診を受ける女性の割合が低いのも現状です。特に子宮頸がんは前がん(異形成)の段階で発見が可能です。ところが、子宮頸がんになると早期の段階からリンパ節へ転移して、大きな手術や放射線治療、抗がん剤治療が必要となります。「検診さえ受けていれば…」という患者さんを見る度に残念でなりません。20歳を過ぎたら2年に1回の検診が推奨されています。「もう年だから受ける必要ない」というものではなく、年齢を問わず検診は必ず受けてください。寺井先生にしつもんQ.寺井先生はなぜ医療の道を目指されたのですか。A. 私は代々続いた産婦人科医の6代目で、父親も産婦人科医。当時はもちろんお産もできる開業医で、昼も夜もなく働く父のカッコいい後ろ姿に憧れていました。Q.後は継がずに婦人科腫瘍の専門医に?A. 学生のころ、治らないと言われているがんを「手術でなんとか治したい」という使命感のような思いがあり、産婦人科の中でも婦人科腫瘍を専門にしようと決めていました。その上、新しいものが好きで(笑)、最近は腹腔鏡やロボット手術を極め、積極的に取り入れるよう努めています。Q.患者さんや学生さんに接するにあたって心掛けておられることは?A. 病気になって病院に来られる患者さんは弱い立場におられます。私たち医者が同じ立場にはなれませんが、専門的な知識を持って「病気を治してあげたい」と思う気持ちを強く持つと同時に、患者さんが伝えたいことをちゃんと話せる環境や雰囲気を作りたいと思っています。患者さんがそれぞれに持っておられる背景や人生、思いを理解した上で、「一人の人間としてリスペクトして接するところから始めてほしい」と学生たちにも日頃から話しています。Q.健康法やリフレッシュ法は?A. 健康法は唯一、週末の散歩。メリケンパークやモザイクや…散歩していると「神戸のまちはいいなあ」と思いますね。リフレッシュ法は懐メロ、ジャズ、クラシックなどジャンルを問わず音楽を聴くこと、歴史小説を読むことかな。あまり健康的とは言えませんが元気に生きています(笑)。111
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