院で対応している兵庫県は比較的恵まれた環境です。―難病ではない一般的な病気の治療も受け入れていただけるのですか。子宮内膜症や子宮筋腫、骨盤臓器脱、子宮や卵巣の良性腫瘍および悪性腫瘍、今増えている梅毒などの性器感染症といった婦人科領域の一般的な疾患を幅広く扱っています。手術法に関しては先進的な方法を導入しており、子宮の手術については、良性腫瘍、悪性腫瘍ともに腹腔鏡手術と2018年に保険適用となったロボット支援下手術が主流です。卵巣についても良性腫瘍ではほぼ全例腹腔鏡手術を行っております。悪性腫瘍では、技術的には可能ですが一部保険適用外の場合もあります。―腹腔鏡とロボット支援下手術の違いは?どちらも小さな切開部分から棒のような鉗子を入れて画面を見ながら動かす低侵襲の手術です。腹腔鏡の場合は専門技術を持った医師が自分の手でマジックハンドを操作するイメージで、ちょっとした手の動きが直接影響します。神大病院には2台のダ・ヴィンチに加え、開発当初から神戸大学が関わったメディカロイドのHinotoriという国産手術支援ロボットがあります。腹腔鏡と基本的には同じで、3Dカメラで体の中の血管や神経まで細かく立体的に映し出される画面を見ながら鉗子を遠隔操作します。ほんの小さな動きができる上に、手ぶれ防止機能があり緻密な手術が可能です。―低侵襲で特別な手術ですね。決してそうではなく、保険適用も年々増えていますが、手術を行うためには経験と技術が必要で、大学病院では、学会が定める技術認定医が手術を行っています。手で直接触れることのない腹腔鏡、ロボット支援下手術共に開腹手術に比べて術後の癒着や合併症のリスクが少ない手術法です。選択肢の一つとして考えていただいていいと思います。コー検査の精度が高くなっていますから肺の異常や食道閉塞などが見つかったら、分娩時から小児外科の先生が待機してすぐ手術で対応できます。神大病院産科婦人科ではいろいろな診療科の先生方にお世話になり協力しながら赤ちゃんを迎えています。―一般の妊婦さんは受け入れていただけるのですか。もちろんです。希望すれば無痛分娩も可能です。大学病院では、麻酔は麻酔科の専門医が行いますので、安全な無痛分娩を実施しております。持病があって妊娠が可能なのか悩んでおられるのならプレコンセプションケア外来で相談してください。妊娠は女性の体には大きな負担がかかります。妊娠高血圧腎症による子癇発作や胎盤早期剥離による大量出血などのリスクは年齢が上がるほど高くなります。初産年齢が高くなっている上に、有床のクリニックが減っている現状では総合病院の需要はますます高まるでしょうね。その点、公立病院や大学病110
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