女性がライフステージに合わせてお世話になる産科婦人科ですが、大学病院だから特別な患者さんが受診するのでしょうか?「決してそんなことはないですよ」と話す寺井義人先生に詳しくお聞きしました。―産科婦人科の領域と役割は?婦人科腫瘍・周産期・生殖内分泌・女性ヘルスケアと大きく4つの領域があります。若い先生方も含め産婦人科医はそれぞれに専門領域を持っています。私の場合は婦人科腫瘍、特に腹腔鏡・ロボット支援手術といった領域を専門として、悪性腫瘍に関しては学会で委員長やガイドライン作成を務めるなど教育的な立場でも携わっています。また女性ヘルスケアも専門としています。専門領域化する一方で、思春期から周産期、更年期障害や老年期の骨盤臓器脱など、同時に良性・悪性腫瘍のような疾患まで、さまざまな女性のライフステージでの病気や悩みに対してトータル的なヘルスケアを担うのが産婦人科医であり、診療科としての役割だと考えています。―思春期から受診するのですか。10代から20代の女性は生理痛の悩みで受診されるケースが多いですね。その中には子宮内膜症などの病気があり、骨盤痛が出たり、不妊につながったりする患者さんもおられます。昔は痛みを我慢するしかないと言われていましたが、今はピルや黄体ホルモン製剤などを使って治療をするのが第一選択になっています。―20代になると周産期というライフステージに入るのですね。女性の社会進出が進む今、初産年齢の平均は31歳です。がんの罹患年齢とも重なってきます。特に40歳を超えると受精能力が落ち、43歳を過ぎると自然妊娠は難しく、体外受精でも妊娠することは難しくなってくるのが現実です。女性にも社会に出てキャリアアップを目指してほしいと思う一方、こういった情報も知っておいていただきたいと思います。神大病院の魅力はココだ!Vol.29神戸大学医学部附属病院産科婦人科寺井 義人先生に聞きました。108
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