KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年1月号
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のは全国でも非常に珍しいと思います。また、兵庫県の重要有形民俗文化財に指定して頂いています。そういった建物を通して日本酒文化を伝えていくことは大切だと捉えています。お陰様で去年はコロナ禍前よりも来館者数が増加しました。外国人の方にも数多く来ていただいており、日本の酒造り、歴史、建築、色々な角度で関心をもって頂いていると思います。灘五郷には他にも資料館が点在していますが、それぞれ個性がありますので、色々と巡ってそれも感じてもらえたらと思います。沢の鶴株式会社 Sawanotsuru Co.,Ltd.神戸市灘区新在家南町5-1-2TEL.078 -881-4301〈取材を終えて〉「若者の日本酒離れ」が指摘される一方で、海外においては、和食ブームと共にプレミアムな日本酒の価値が認められ、日本酒需要は高まっている。西村社長に伺うと、一口に海外と言っても、ヨーロッパとアメリカ―もっと言えば、ヨーロッパの中でもドイツやフランス、イギリスなど、その国によって売れるお酒が全く違うそうだ。将来的には、国ごとに細分化して、その国にあった商品を作ってみたいと語っておられた。歴史に裏打ちされた品質とともに、新たな付加価値で新しいニーズを捉えようとする沢の鶴。その不断の“挑戦力”で灯し続ける神戸の文化を改めて感じながら、灘の酒を味わいたいと思った。西郷・沢の鶴ならではの個性についてお聞かせ下さい。“灘”五郷といいますが、“灘”区にあるのは西郷だけですので、そこは誇りに感じています。また、当社に伝わる心得のひとつに「酒は造るものではなく、育てるもの」という言葉があります。我々は、お酒を工業製品や加工品として捉えるのではなく、まるで自分の子どもを育てるかのように見つめ、ときに手を差し伸べ、自分たちの手を離れるまでともに過ごしています。その中で生まれる味わいを感じて欲しいですね。最後に、御社にとっての「神戸とは?」我々は、1717年からこの地で酒造りをしてきましたので、やはり、地元への感謝や、少しでも恩返しがしたい、という気持ちがあります。灘は日本一の酒どころであり、灘の酒は神戸のコンテンツのひとつだと思うので、価値の高い酒を造り続けて神戸を盛り上げていきたいと思います。〈プロフィール〉蔭岡翔(かげおか しょう)放送作家・脚本家神戸市東灘区在住。関西の情報番組や経済番組などを企画・構成。日本放送作家協会関西支部監事。日本脚本家連盟関西地区総代39

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