正月に欠かせない縁起物のひとつに日本酒がある。そして、その日本一の生産量を誇るのが神戸市から西宮市に位置する「灘五郷(なだごごう)」である。灘の酒は江戸時代中期以降、上方から江戸に運ばれる「下り酒」の主流となり、その味に江戸の人々が酔いしれた。そして、「下り酒」から転じて「下りもの」が高級品の代名詞となり、逆に粗悪品や取るに足らないものを「下らないもの」と呼ぶようになったのだとか。それだけ灘の酒は質が高いということだろう。そんな酒造りの伝統を今も受け継ぐ「灘五郷」は、日本酒文化を伝える観光地としても人気であるが、いち早く酒蔵を資料館として公開し牽引してきたのが、西郷(にしごう)で1717年に創業した「沢の鶴株式会社」(灘区新在家南町)だ。今回は、伝統の酒造りを守りつつ、新しいニーズに応える革新的な商品の開発に挑み、日本酒に新たな価値を生み出そうと挑戦を続ける西村隆社長にお話を伺った。未来を-VOL.8-駆ける神戸の新風不易流行の酒造り伝統×新たな価値創出への挑戦!34
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