KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年1月号
32/148

てもらいました」と語る。そして2023年。「サイン会を行っているときにふと気づいたんです。今年は15周年記念の年なのに新刊がないぞ、と。小説家にとってファンへの感謝は新刊を出すこと。今年中に新刊を出さないといけない…とあせり始めました」と笑った。次は「無敵の女王」宣言小説家としての執筆活動の本格的な再開だった。2023年3⽉、新刊『人間標本』の執筆に着手した。「何とか年内中に出そうと意気込んだのに6⽉末までに書きあげたのは原稿用紙で約100枚。残り300枚もあるのか…」あせる思いを募らせながらも、「8⽉には行きたかった登⼭へ出掛け、9⽉はサイン会やファンイベントのためにインドネシアを訪れました」と苦笑しながら明かす。だが、15年の作家生活でハードスケジュールには慣れ、ペース配分は身に沁みついている。9⽉中旬までに残り約300枚を無事書き終え、計400枚の長編を完成させた。休養期間は新作にどう影響したのだろうか。 「テーマを決めて、ドラマを掘り下げて書いていた時期が長かった。でも一度立ち止まってみて気付きました。幼かった頃、江⼾川乱歩のミステリー小説を夢「十分に休めましたか?」と聞くと、「それが、すでにその年に放送されるテレビドラマが予定されていて、原作を頼まれて、2021年は休めなかったんですよ」と苦笑しながら打ち明けた。「その代わりに、翌2022年は一年間、執筆活動を休ませ32

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る