復帰作で覚醒小説『告白』で鮮烈なデビューを飾って15年。心の奥に潜む闇に迫る、鋭く冷徹なまでの心理描写から読後感に嫌な気分が残る…。そこから付けられた異名は〝イヤミスの女王〟。先⽉刊行された湊かなえさんの新作『人間標本』(KADOKAWA)は間違いなくイヤミスの女王にとっての新境地。表紙の帯に刻まれた「さらなる覚醒」という文言は大げさではなく15周年記念作にふさわしい。「たとえ、ハッピーエンドでなくても読んだ後、心から面白かった…。そう言ってもらえる最高傑作が書けました」と自信作の手ごたえを語気を強めて言葉にした。《人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな》新作は「私」のこんな独白で綴られる〝予測不能〟なミステリーだ。「私」の独白は続く。《…蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。あの美しい少年たちは蝶なの作家デビュー15周年で切り開いた〝イヤミスの女王〟の新境地作家 湊 かなえさん30
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