KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年1月号
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じ、映画「天間荘の三姉妹」(2022年)では老舗旅館のベテラン総料理長を演じた。いずれも脚本家や監督たちから「あなたに演じてほしい」という直々にラブコールを受けての出演だ。「実は今、これが映画化できたら…と構想中の企画があるんですよ」不朽の名作「俺たちの旅」の50年後を描いた物語だという。気ままに青春を生きる大学生のカースケ(中村雅俊)。何をやってもだめな同級生、オメダ(田中健)。いつも煮え切らない先輩のグズ六(秋野太作)。まだ、20代だったあの3人は50年後、どうしているのか…。「実はドラマでカースケが着ていた米軍払い下げのコートに下駄。ぜんぶ当時の俺の私服だったんですよ」と笑いながら明かす。将来の夢や構想を語る熱い姿が、あの無頼漢のカースケや熱血先生の沖田俊とオーバーラップして見えてきた。夢がある限りまだ青春の途中…。中村さんの生きざまがそれを教えてくれる。シャンにとって聖地と呼ばれる日本武道館のステージに遂に辿り着いたのだ。〝青春貴族〟は継続中そして現在。まだ三つ目の夢の途上にいる。フルオーケストラのコンサートでは往年のヒット曲も披露。その代表作と呼べる「俺たちの旅」や「ただお前がいい」はシンガー・ソングライターの小椋佳さん、「恋人も濡れる街角」はサザンオールスターズの桑田佳祐さんによる楽曲だ。「いずれも俺が曲を作ってほしいと願って、いろいろな人へ頼んでいたら、本当に作ってくれたんです」と恐縮しながら笑う。この愛嬌あふれる笑顔で依頼されたら、きっとどんなミュージシャンも断れないのではないか?一方、俳優としてもまだまだ忙しい。話題を呼んだNHK連続テレビ小説「半分、青い。」(2018年)では孫の活躍を優しく見守る祖父を演ジ・ハリスン。憧れの「ビートルズ」のリード・ギタリストだ。「家に着いたら8万坪もある大豪邸で驚きました。広大な庭には池や川、日本庭園もあり、彼が案内してくれたんですよ」そのときにハリスンと一緒に撮った貴重な写真も披露してくれながら、臨場感豊かにその訪問の様子を説明してくれた。「この写真は今でも俺の宝物なんです」とうれしそうに話す表情は、「ビートルズ」に憧れ音楽活動に明け暮れていた学生時代に戻ったかのように無邪気だった。歌手になって立てた夢。その一つ目の紅白歌合戦初出場は1982年に叶えた。さらにその二年後、二つ目の夢を実現した。1966年、初来日した「ビートルズ」は東京の日本武道館でコンサートを開催している。「いつか自分も武道館で歌いたい…。そう思うのは、ミュージシャンになった者にとっては誰もが一度は夢見る願いでしょうね」と強調した。1984年、日本のミュージ28

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