KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年1月号
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NHK紅白歌合戦に出場すること。二つ目は、日本武道館で単独コンサートを行うこと。そして、三つ目がこのフルオーケストラとの共演だったんですよ」すべての夢を叶えながら、それでも立ち止まらず、新たな新境地に挑むため、2月のステージに向け、準備を進めていた。宮城県で生まれ育ち、外交官を目指して上京。慶應大学経済学部へ進む。英語を学ぶためにESS(英語のクラブ)へ入部し、そこで出会ったのが英語劇だった。演劇に魅了され、文学座へ入り、そこで運命が訪れる。「われら青春!」の主演デビュー。そこにはこんなドラマ史の秘話が隠されていた。「実は当初の予定では文学座の先輩だった松田優作さんが『われら青春!』の主演を務める予定だったんですよ。ところが『太陽にほえろ!』に出演していた刑事役のショーケン(萩原健一)さんがドラマで〝殉職〟したため、松田さんが新たな刑事〝ジーパン〟として呼ばれて。そこで急きょ、俺が『われら青春!』に出ることになったんですよ」「歌手デビューし、歌うことを生業としてからの夢だった、念願のフルオーケストラとのコンサートが遂に叶ったんです」今回が3度目のツアー。12月21日には兵庫県立芸術文化ホールを会場に「兵庫芸術文化センター管弦楽団」の演奏で歌い上げた。そして、デビュー50周年を迎えた今年。2月1日には東京のすみだトリフォニーホール大ホールを会場に「新日本フィルハーモニー交響楽団」の演奏で歌う。「フルオーケストラということもあり、これまではスローバラードやミディアムテンポの曲が多かったのですが、今回はアップテンポの曲を増やしています。会場が盛り上がるんですよ」と新たな挑戦に意欲を燃やす。歌手として抱いた三つの夢俳優と同時に歌手としてデビューし、もうすぐ50年。第一線を走り続けながら、こんなことを考えてきた…。「歌手になってから、三つの夢を持ちました。一つ目は、「俺たちの旅」が人気を集め、主題歌「俺たちの旅」と挿入歌「ただお前がいい」が大ヒット。「でもヒットランキングはずっと2位。あの『泳げ!たいやきくん』が同時期に発表されたんですよ。仕方ないですね」と笑う。その後もドラマや映画への出演は相次ぎ、主題歌などが次々とヒット。俳優兼歌手として第一線を駆け抜けてきた。「おかげさまでデビュー以来、歌手として45年間、毎年ステージに立ってきました。ところが2020年、コロナ禍の影響で遂に連続ツアーが、途絶えてしまって…」。そう悔しそうに語ったが一転、「翌年からまたツアーを再開したんですよ」と明るい笑顔に戻った。そこには特別な意味が込められていた。2021年から始まったツアーはこれまでとは趣向が違った。「billboard classics 中村雅俊」と銘打った〝復活のステージ〟は自身初挑戦となるフルオーケストラを率いて歌うコンサートだった。26

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