今村 欣史書 ・ 六車明峰連載エッセイ/喫茶店の書斎から 繋がった!こんな偶然があるだろうか。最近偶然の出来事に出合うことが多く、これは高齢になったからだろうか?と理に合わないことまで考えてしまう。一つの例を上げよう。高校生の孫、滉が久しぶりにやってきて、将棋を指そうと道具を出してきた。勝手知ったるジージの家である。将棋盤が入っている箱を開けると、思わぬものが出てきた。箱を間違ったのだ。出てきたのは詩人杉山平一氏の一枚の書。これは杉山氏の没後に氏の書斎を訪問した時に、案内してくださったご息女の初美さんから戴き、表具屋さんで裏打ちしてもらったもの。大切なものだが行方知れずになっていたのだ。「橋の上」という詩がなんともいえない親しみの持てる素朴な文字で書かれている。橋の上にたって深い深い谷川を見おろす何かおとしてみたくなる小石を蹴るとスーツと小さくなっていって小さな波紋をえがいてゴボンと音がきこえてくる繋がった!そんな気持でほっとする人間は孤独だから なにが偶然かというと、わたしはその日の朝に杉山氏の詩のことをエッセイに書き上げたばかりだったのだ。まあ、この程度のことは不思議ではないだろう。しかし、今回のことはあまりにもの偶然。10月号本誌にパフォーマー、森文子さんのことを書いた。11月号にはラジオパーソナリティー、久保直子(奈央)さんのことを書いた。この二つの話は全く関連がない、はずだった。森さんは東北の宮城で、ピエロやパントマイムなどで活躍する人。一方、久保さんは関西で活動している。ところがだ。このほど、久保さんのパートナーも118
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