KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年1月号
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「「ちょっと怖い」というイメージを持ってしまう放射線治療。30年以上にわたり携わってこられた佐々木良平先生に、放射線治療がどんなものなのかを改めてお聞きし、安心して気軽に受けられる最新の治療方法や今後の事などお話しいただきました。―放射線治療とは?物理エネルギーを体の奥深くまで照射してがん細胞を壊す治療が放射線治療です。主に高エネルギーのX線で、その他には粒子線治療、アルファ線治療などがあります。エネルギーが高いほどがん細胞のDNAを直接壊すことができ、幾分低い場合は細胞内の水分子を電離することによってがん細胞を破壊させます。また小線源治療は体の中に挿入するアプリケーターという細い筒状の器具の中に、外の保管タンクから放射線線源をチューブで送り込み、CTやMRIで確認しながらがんの部分に直接照射してがん細胞を壊します。―体の外からと内からの照射はどう使い分けるのですか。体内照射である小線源治療の適応される疾患は子宮頚がんなど一部であり、アプリケーター挿入には強い麻酔が必要です。そのため大多数が体外照射で、そのうち約3割以上の患者様では外来通院での治療ができます。ほんの1分程度で簡単に照射でき、着替えて会計を済ませても30分程度ですみます。患者様の状態により入院が必要な場合もありますが、できる限り、日常生活に近い状態での外来通院治療を選択するのが患者さんにとってより良い方法です。―全てのがんで可能なのですか。適したがん、適さないがんがあるのですか。血液がんは除き、ほぼ全てのがんで放射線治療は可能です。しかし適さない疾患や場合もあり、例えば胃がんや大腸がんでは、手術後再発した時に、次の治療として選択されます。一方、臓器の機能を温存するために放射線治療が最初から選ばれるケースは多くあります。例えば喉のがんを手術で摘出神大病院の魅力はココだ!Vol.28神戸大学医学部附属病院放射線腫瘍科佐々木 良平先生に聞きました。106

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