KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年1月号
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良く、情報も多く、生活施設や教育機関も充実している都会に集まりがちですよね。後者については、過酷で時間が不規則な診療科は敬遠されがちです。ですから、偏在をDX化だけで解消することは難しいでしょう。県医師会では偏在解消に向けてドクターバンクを設置し、1か月に1人程度ご利用いただいています。─命を預かる医療ですので、デジタル化による効率化には限界があるようですね。八田 2017年に「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」が厚生労働省から発出されましたが、これは特に医師不足地域で有効に利用できるかもしれません。また、AIを活用した書類作成など、事務処理などの面で少し手助けになるでしょうね。ですが、国が主導してデジタル化の推進が行われていますけれど、決してデジタル化が遅れている訳でも、世界から取り残されている訳でもないと思うのですよ。国民がトラブルなく手続きを進めていって、我々の先人が進めてきた保険証が1枚あればいつでもどこでも誰でも適切な医療が受けられるという国民皆保険制度という世界に誇る制度によって支えられている日本の医療が、デジタル化が進んでさらに前進できるようになれば良いですね。─医師会の運営におけるデジタル化はいかがですか。八田 県医師会では遠方の会員が活動しやすくするために、以前から県内9か所に医師会本部と接続できるテレビ会議システムを導入していますが、このコロナ禍でインターネット回線を使用したオンライン会議が一気に加速しました。自宅や診療所で会議などに参加できるようになり、講演会などでは講師の先生にもリモートでご講演いただくことができます。このあたりがデジタル化による一番のメリットですね。講演会などの参加申込も以前はFAXでしたが現在はWEBからですし、役員と事務局との間ではグループウェアを利用して情報交換を行なっています。こういったことはペーパーレス化や業務の迅速化・効率化にも繋がっています。─これからの医療を支える若い医師にはどのようなサポートをしていますか。八田 県医師会では県下の病院にご協力いただき、新たに医師になった先生方に医師会に入会していただこうとウエルカムパーティーを開催しています。その時はオリエンテーションも行い医療や保険について学ぶ場を提供するとともに、医師会の役割についても説明しています。それでもなかなか医師会に加入していただけないですけれど。─その理由は何ですか。八田 「会費が必要」や「メリットが感じられない」という声があります。会費についてですが、医師会は日本医師会、都道府県医師会、郡市区医師会という三層構造になっていて、郡市区医師会に加入しないと日本医若い医師へのサポートを104

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