KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2024年1月号
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高額医薬品、高齢者人口の増加なのです。ですから国民医療費の約19%に過ぎない一般診療所にかかりつけ医制度を導入しても、医療費抑制の効果はないでしょう。それどころか、もしかかりつけ医制度が導入されると、誰もがいつでもどこでも医療を受けられるという国民皆保険制度のフリーアクセスが制限されることになります。そうなれば患者さんも困るでしょう。かかりつけ医機能についても、みなさんそれぞれ内科は〇〇先生、眼科は△△クリニックなどと複数のかかりつけ医を持っている訳ですから、かかりつけ医を固定するような法改正は我々医療関係者も、国民も望んでいないのですよ。ですから2023年1月にかかりつけ医の制度化が国会で阻止されたのでしょう。─かかりつけ医自体は日本で浸透しているのでしょうか。八田 昔から定着していると思います。かかりつけ医に必要な技能は我々医師が研鑽しないといけないことだと思いますし、医師会も研修制度などを設けて総合診療のスキルアップに努めているところです。─医師不足の現状はいかがでしょうか。八田 人口千人あたりの日本の医師数は2.6人で、フランスの3.2人、ドイツの4.5人と比較しても少ない数字になっています。しかし、少ない人数でも世界でトップレベルの医療を行なっていますし、超高齢社会を支えています。一方で、過労死ラインを超えて働く医師がいるという問題も出てきています。医師の偏在化という課題もあります。2024年4月からは医師の働き方改革への対応も求められ、労働時間が制限されるようになるので、余計に労働力不足が加速するでしょう。─医療DXの活用で解決しないのでしょうか。八田 医療DXとは「保健・医療・介護の各段階において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」と定義されています。ですから、医療DXで解決できるかどうかはわかりませんが、例えば情報通信機器を用いた遠隔診療、オンライン診療が手助けになるかもしれません。しかし、電話や画面を通じた医師=患者間のみによるオンライン診療では情報が限定的になり医療の質は低下しますので、やはり患者さんの隣に看護師さんがいて情報通信機器を経由して患者さんの状態を伝えてもらうなど、対面診療に近い診察にしないといけないのではないでしょうか。─医師の偏在はいかがですか。八田 偏在には2つありまして、1つは地域間の偏在、もう1つは診療科間の偏在です。前者については、人は交通の便がデジタルの活用をより推進103

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