りますが、がんについては、肝胆膵領域は症状が非常に出にくい臓器です。症状が出たり、血液検査で異常が指摘された時点でかなり進行しているケースも多いです。―どうしたらいいのでしょう。自覚症状での早期発見は期待できない病気だということを認識して、がんになる要因を予防することが大切です。肝臓の場合、ウイルス性肝炎は治療できるようになった一方で、最近は脂肪が肝臓に溜まることによって炎症を起こす脂肪性肝炎が増えています。食生活の欧米化の影響は間違いなくあると思います。肝硬変も早期の段階であれば、食生活改善・禁酒などの生活習慣を変えることで、肝臓には元に戻る力があります。まず生活習慣を見直し、一般的な検診に加え、かかりつけ医と相談の上、超音波検査やCT検査などを定期的に受けるのも予防や早期発見のためには必要です。小松先生にしつもんQ.小松先生ご自身の趣味やリフレッシュ法は?A.自分でやるなら野球、観戦するならアメリカンフットボールが好きです。休日のリフレッシュ法は家族と行くキャンプや街をブラブラすることです。Q.肝臓外科の専門医としてやりがいを感じるときは?A.非常に難しい領域ですから、私も医者になって20年以上たちますが、いつまでも山頂が見えない登山をしているような感覚です。でも、とてもやりがいのある領域なので、一生を捧げる仕事として、これ以上のものはないと思っています。Q.日頃、病院で患者さんに接するとき、また大学で学生さんに接するときに心掛けておられることは?A.患者さんに対しては、難しい選択を迫られたとき「自分の家族ならどんな治療を受けてほしいと思うだろうか?」と考えます。外科治療に固執せず最適な治療を提示できるよう心掛けています。働き方改革が進んでいるとはいえ、肝胆膵外科の仕事は大変なこともあります。だからこそやりがいもとても大きいです。学生さんたちに「こんなはずじゃなかった」と後悔してほしくないので、決して「ラクだよ」などと言わず、現実を真摯に話すようにしています。そこに魅力を感じてくれる学生がこの領域を専門に選んでくれると信じています。Q.肝臓外科を専門にされた理由は?A.国家試験の勉強をしていて肝臓が一番おもしろい臓器だと思ったこと、また学生のときに見学した肝臓移植に興味を持ったことが専門に選んだ理由です。Q.なぜ医学の道を志されたのですか。A.父親が外科医でクリニックを開業していました。厳しい人でしたが子どものころからその姿に憧れ、後を継ぐつもりで医学を志しました。結果的にはちょっと違う道を選び大学病院にいます。99
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