KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年12月号
96/136

日常的に「胃が痛い」「お腹の調子が悪い」と口にしますが、「肝臓が痛い」「膵臓の調子が悪い」とは言いません。病気が進行しても自分では気付きにくいところが「肝胆膵」の厄介なところだそうです。どんな臓器で、どんな病気があるのでしょうか。小松昇平先生にお聞きしました。―肝胆膵とは?消化器に分類されるのですか。肝臓、胆のうと胆管、膵臓の総称です。消化器と聞いてまず想像する食道、胃や腸は「管腔臓器」と呼ばれる食事の通り道の臓器ですが、肝胆膵は「実質臓器」と呼ばれる中身が詰まった固形の臓器です。―それぞれの特徴は?どんな役割を持っているのですか。肝臓は体の中で最も大きな実質臓器です。また再生の力がある唯一の臓器なので一部を切除しても元に戻ることができます。「お酒を分解する」などと言われるように解毒作用があります。体に入ってきた栄養を保管して、飢餓状態になったときには体のために使って力を発揮します。また、脂肪を分解する「胆汁」という液体を作っています。肝臓で作られた胆汁は胆管を通り胆のうに溜められます。食べたものが十二指腸に入ってくると胆管を通って流れ出し脂肪を分解する働きをします。この胆のうはなくなっても大きな支障はなく、胆石の手術では胆のうごと切除します。後遺症が出ることは基本的にありません。膵臓では内分泌ホルモンの一種で血糖値を調節する「インスリン」が作られるのをはじめ、糖質・脂質・タンパク質を分解する「膵液」が作られていて、膵管を通って十二指腸へ流れていき、食べものの消化を助けます。―肝胆膵にはどんな病気が多いのですか。最も多いのは肝胆膵それぞれの「がん」です。各臓器で発症する原発性がんのほかに、他の臓器から転移してくる転移性がんがあり、特に肝臓の場合は大腸がんからの転移が多く見られます。大きな臓器である肝臓や肺は血液にのって全身を流れるが神大病院の魅力はココだ!Vol.27神戸大学医学部附属病院肝胆膵外科小松 昇平先生に聞きました。96

元のページ  ../index.html#96

このブックを見る