KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年12月号
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ひょうご・みんなで支え合い基金実行委員公益財団法人ひょうごコミュニティ財団代表理事 実吉 威さん東京大学教育学研究科比較教育社会学コース教授 仁平 典宏さん阪神・淡路大震災が起きた二日後、私は神戸に入りボランティア活動に携わりました。次第に団体や人が減っていく中、継続のための中間支援を続けた後、市民団体やグループと寄付を希望する人をつなぐパイプ役として2013年「ひょうごコミュニティ財団」を設立し、社会で弱い立場にいる人たちを支援する活動を資金面で支えてきました。20年に立ち上げた「支え合い基金」は実行委員をはじめ多くのメンバーが地域の広いネットワークを使い、話し合いながら進めてきました。当団体独自の調査によると、市民セクターが資金や人材確保の面で困難に陥っていることが見えてきました。パネルディスカッションでもご指摘があったように、経済界、行政、議会などとの垣根が高く、特に市民から発信ができていない現状があります。「つなぐ」役目を担い、例えばテーマを決めた勉強会を開催して議員さんにも参加していただく、リタイアされた方と人材を必要とする団体をマッチングするなど、今後は助成金以外での支援がますます重要になると痛感しています。ひょうごコミュニティ財団の事業には以前から興味を持っていましたので勉強のためフォーラムに参加させていただきました。私が数年前から評価を担っている赤い羽根共同募金は全国展開で数百万円規模ですが、小回りが利き自由度の高い数万円規模の助成金が地域にフィットし、すごく必要とされていることを初めて知りました。また、市民セクターが横はもちろん、政治や財界と縦にもつながる必要があるというお話を興味深く聞かせていただきました。二極化社会といわれています。お金をたくさん持っている人たちが自分たちの責任を自覚して積極的に助成活動に協力することが重要です。ところが日本はWorld Giving Index(世界寄付指数)で世界百数十カ国中、昨年は最下位、今年も下から2番目。これではだめです。日本人は同じ集団の人には尽くすけれど、立場を越えた人への支援は低調です。この意識から変えていかなくてはならないと思います。91

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