実験でも行われていますが、電子ニュートリノに変わったことを見る実験は「appearance」の実験と言い、本質的に異なるものです。「消失した」だけだと単に数え漏らしや計算間違いなどの可能性もありますが、変化した先の電子ニュートリノを測定するのであれば、これは確実にニュートリノ振動を捉えたことになるからです。こうして、このニュートリノ振動現象をより詳細に調べることが可能となりました。PROFILE多田 将 (ただ しょう)1970年、大阪府生まれ。京都大学理学研究科博士課程修了。理学博士。京都大学化学研究所非常勤講師を経て、現在、高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所、准教授。加速器を用いたニュートリノの研究を行う。著書に『すごい実験 高校生にもわかる素粒子物理の最前線』『すごい宇宙講義』『宇宙のはじまり』『ミリタリーテクノロジーの物理学〈核兵器〉』『ニュートリノ もっとも身近で、もっとも謎の物質』(すべてイースト・プレス)がある。パイ中間子が崩壊してニュートリノとなる空間の入口パイ中間子が崩壊してニュートリノとなる空間の終端パイ中間子を集束させてニュートリノビームをつくる電磁ホーン(第2電磁ホーン)※電磁ホーンは、第1、第2、第3の3基を直列に配置して使う第1電磁ホーンと第2電磁ホーンの上方。板状のものは電磁ホーンに320kAもの大電流を供給するバスバー65
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