KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年12月号
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ス』という本(キャロル自身が子ども向けに書き直したアリスの本)を教えていただいたことを思い出して、絵本を読むような形の展示解説にしてみました。「Yokoo in Wonderland―横尾忠則の不思議の国」という展覧会名やポスターの印象から、可愛らしい作品が並ぶと期待されるかもしれませんが、ここは横尾忠則現代美術館。横・・・・・尾さんの「不思議の国」なので、くれぐれも覚悟してご来場ください。品たちです。第3章は「夢の国」。アリスの物語にはありませんが、「不思議の国」も「鏡の国」も夢オチの物語ですよね。そして横尾さんは面白い夢を見る名人で、1970年頃から夢日記をつけています。ピンクの壁にずらりと並んだ43点のドローイングは、横尾さんが見た夢を絵日記として出版した本『夢枕』の原画。第1章「不思議の国」の作品群とも響き合うシュールな世界観です。横尾さんが創り出す不思議な世界は夢を介して異界とつながっているのかもしれません。展覧会場で時折顔を覗かせるおなじみのキャラクターたちは、ルイス・キャロル自身が出版に関わったオリジナル版の『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』に掲載されたジョン・テニエルの挿絵から引用しました。たしか7年前、横尾さんのアトリエで、アリスとシュルレアリスムについてお話している時に、横尾さんから『子供部屋のアリ美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、東京都名誉都民顕彰、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』ほか多数。2023年文化功労者に選ばれる。横尾忠則現代美術館にて「Yokoo in Wonderland―横尾忠則の不思議の国」開催中。12月24日(日)まで。横尾忠則現代美術館「Yokoo in Wonderland―横尾忠則の不思議の国」展 会場風景(第3章)1919

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