KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年12月号
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「不思議の国のアリス」で、アリスがウサギ穴に飛び込んで冒険が始まるように、第1章「不思議の国」は、少女が穴に飛び込む場面で幕を開けます。穴を抜けるとそこは地底王国アガルタ。横尾さんが描く穴は異界へのトンネルなのかもしれません。その先の洞窟は、生と死が混在する舞台。大人の世界を覗き見る好奇心旺盛な子どもたちは、江戸川乱歩の小説から抜け出してきたようです。彼らは横尾さんの分身となってジュール・ヴェルヌの海底世界にも登場します。そして、いつしか海は空と融合し、赤い闇に星が輝く宇宙が現れます。生と死が循環し、時には天使や宇宙人も登場する、懐かしい未知の世界です。1717

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