KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年12月号
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和釘とは鍛冶職人が1本1本たたいて作った昔ながらの釘のことです。あまり聞きなじみがありませんが、実は数年前まで神戸市の小学5年生が使う国語の教科書に取り上げられていました。四国の鍛冶職人・白しらたかゆきのり鷹幸伯氏が薬師寺西塔再建にあたり古代の和釘を再現する過程と、千年もつ釘づくりに挑む職人の心意気を描いた「千年の釘にいどむ」という文章です。薬師寺西塔を1300年前の様式で再建した宮大工西にしおかつねかず岡常一棟梁と親交のあった白鷹氏は、この西塔再建に必要な和釘約7千本の注文を受けます。「自分たちはこれから千年以上もつような建物を建てるから、そこに使う釘もちゃんと千年以上もつように作ってくださいね」と頼まれたそうです。機械で大量生産される現代の釘(洋釘)では50年もしたら空気にふれたところから錆びてだめになってしまいます。ではどうするか。白鷹氏は現代の鉄と古代の鉄、そして古代の釘と現代の釘の違いを調べることから始めまし千年の釘に挑む 白鷹幸伯(1935~2017)薬師寺の伽がらん藍復興や錦きんたい帯橋きょうの架け替えに使用された和釘を鍛えたことで知られる鍛冶職人。―白しらたかゆきのり鷹幸伯の和釘竹中大工道具館邂逅―時空を超えて第三回14

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