KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年12月号
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andcarsMovie ジャック(ニコラス・ケイジ)はロンドンの銀行に研修に行くため空港にいる。恋人のケイト(ティア・レオーニ)はジャックと二度と会えない予感がして引き留めるが、「仕事の成功が2人の幸せになる」と言いながらジャックは飛び立った。そして13年が過ぎ、ウォール街の大手投資会社の社長になったジャック。ホテルの最上階に住み、フェラーリ550マラネロで出社、クリスマスに重役会を招集し取引に備えるのだった。ケイトの予感は的中した。そんなイブの夜、深い眠りに落ち、目覚めるとベッドには13年前に空港で別れた恋人のケイト、子供が2人、大きな犬、ニューヨーク郊外の家にいる。フェラーリや豪華なホテル、高級スーツ、自分の会社もない。この不思議な世界、多くのギャップに戸惑いながらも、夫として、父として、ここで暮らさなければならない。二人の子供を託児所、学校に送り、義父が経営するタイヤショップで仕事、帰宅すると犬の散歩。美しいケイトと素敵な家族や友人に囲まれた生活も悪くないが贅沢は出来ない。そんな生活に何とか慣れてきたころ、ある顧客への接客を機に投資会社の役員への道が開け、優雅な生活と成功を手に入れるチャンスが訪れる。これぞジャックが求めるこの世界での意義なのか。ケイトに伝えると「既に私たちは十分に幸せな道を歩んでいる。その生活は私たちが求める人生とは違うわ」と言う。それでもケイトは「あなたが本気で転職したいなら、この家を捨てて子供を連れて、あなたについていくわ。愛しているから」と。ふと自宅の本棚に13年前のロンドンからニューヨークの航空券を見つけたジャック。13年前にロンドンに飛び立った翌日の飛行機でケイトのもとに戻り、この生活があることを知った。13年前の異なる選択で存在するこの世界を知ったのは天使からのプレゼント。心が求める愛と閃きのある人生はどちらなのか。やがて天使がくれた夢が覚める時がくる。投資家の社長に戻ったジャックは、さっそく弁護士で成功しているケイトを尋ねるのだが、大きな仕事を任せられパリに引っ越しすると聞いてショックを隠せず「一人ぼっちだ」とつぶやく。ジャックは急いで空港に向かいパリに飛び立とうとするケイトを必死で引き留める。13年前の別れを繰り返したくない。ケイトも人生の大切な岐路と察知して搭乗をやめてジャックと語り合うことを選択するのだった。2人が異なる場所で成功するのも人生、天使の贈りもので経験した愛溢れる家庭も人生。そして、今、空港で語り合う2人のこれからにも素晴らしい人生が待っている予感。もし、あの時にこうしていたら?ホットチョコレートを飲みながらクリスマスの夜に心温まる映画はどうでしょう。フェラーリ550マラネロ 1996年フェラーリの本拠地の地名マラネロと名付けた名車、V型12気筒、5,500㏄、485馬力のエンジンを積んだFRモデル。テスタロッサの最終モデル512M(ミッドシップ)の後継車で、先代の512Mの走りを上回り、FRというパッケージが功を奏して実用面でも優れていた。ピニンファリーナの美しいボディは456GTの流れを受けながらも、名車デイトナの美しさも要所に感じる。劇中でも12気筒のシンフォニーを聞くことができる。文・株式会社マースト  代表取締役社長 湊 善行映  画:『天使のくれた時間』2000年 アメリカ (125分)登場車両:フェラーリ550マラネロFERRARI 550 MARANELLOMM Mukhin@shutterstock10

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