KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年11月号
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したわけではないので。東遊園地はとても素敵な場所に生まれ変わりましたが、その辺りの経緯をお聞かせいただけますか?順を追って話すと、私自身の話からになるのですが、転機となったのは阪神・淡路大震災でした。子どものときから自然が好きで、建築の業界は自然を壊す側面がありそうに感じて、少し敬遠していました。でも、そういう一方的な思い込みを壊してくれたのも震災で、建築業ってまちに凄く大事なんだなと考えたのが1つのきっかけになって、他の会社に勤めてからですけど村上工務店に入ったんです。そして、2011年に東日本大震災が起こりました。阪神・淡路大震災がきっかけで家業に就き、色々と神戸に対する思いがあったはずなのに、そういえば自分は16年間、何もしていないと、この時に気思ったらこうや!」みたいな、そういう印象が強い、分かりやすい創業者でしたね。一方で、先代の父は、民主的な人というか、色んな人の意見を聞きながら進めていくスタイルで、会社を安定的に成長させる軌道に乗せ、大きくしました。私は、ひょっとすると創業者に近い気質も持っているのかな、という風には思いますね。それだけ変化の激しい時代にまた戻っているのかな、という気もするんですよね。というのも、今は建築だけでは伸ばすことが難しい時代に入ってきていると思うんです。なので、創業者気質のようなものが、私にもしあるとしたら、ありがたい時代に戻ってきている――というか、そういうものが必要とされている時代かな、という気はします。村上さんは、一度シンクタンクに就職した後に家業を継がれていますが、会社をどのようにご覧になられていますか?当社の社訓は、「誠実・忍耐・努力」なんですね。――世の中の3つの言葉を選ぶとして、これらって割と近いところにある言葉じゃないですか? 転職してきたときに、「何か…えらい堅い会社やな」と思いました。しかし、やはり建築の仕事は、そういう真面目一徹に技術に向かい合う姿勢が大変大切な仕事なんだな、ということを再認識しています。一方で、この三つの言葉の中には、何かクリエイティビティに近い言葉は今のところ無い。 その辺りが当社としての成長のポイントだと考えています。そういったお考えが、NATURE STUDIOや東遊園地の再整備に繋がってきているわけですね!そうですね。全部、“振り返ると”、なんですけどね。スタート地点としては、そういうものを探そうとして色んな仕事を2つの震災がきっかけとなった、東遊園地のリニューアル構想公園の芝生化など社会実験を重ね、4月7日東遊園地がリノベーションを果たした34

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