KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年11月号
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いながら〝こんな演出はできないだろうか?〟などと、ずっと頭の中で構想を練っていたんですよ。そんな僕のアイデアをスタッフへ伝えたら、〝じゃあ演出もしてみますか?〟と言われて。4回目で、ついに念願が叶うことになったんです」城田さんが演出家の視点から長年温めてきたという、その構想は壮大だった。「事前の情報はない方がコンサートを楽しめますからね」と言うので、「少しだけヒントを?」と聞くと…。「では少しだけですよ。通常、どんなコンサートでもステージの上でオーケストラの位置はほぼ決まっていますよね。それを変えたいと思っているんです」与えてくれたこのヒントに戸惑い、混乱していると、持ち前の旺盛なサービス精神で、さらにヒントを教えてくれた。「スヌーピーたちが住む『PEANUTS』の世界でコンサートが開かれているイメージで、非日常の舞台をお見せできればと考えているん誰も見たことのない世界を2020年。世界で愛されるキャラクター、スヌーピーが活躍する米漫画「PEANUTS」の生誕70周年を記念し、スヌーピーをテーマにしたオーケストラコンサートが東京で開催された。この第1回から昨年の第3回まですべてのステージで城田さんはゲストボーカルとしてオーケストラの前で歌ってきた。そして今年も12月、4年目となるコンサートが開催される。「実は今回、初めて演出も僕が担当させてもらうことが決まったんですよ」。そう語る表情は誇らしげで、とてもうれしそうだ。フルオーケストラの前でソロで歌う。それだけでも十分、大変なことだと想像できるのだが、なぜ演出との〝二刀流〟に挑むのか?その答えは明確だった。「これまでステージの上で歌となると、これがかなり大変で…」。そう笑いながら説明するが、7月22日から8月6日までのロングラン公演の間、「ずっと不安と緊張が消えることはなかったですね」と吐露した…。「ファントム」をはじめ「エリザベート」、「ロミオ&ジュリエット」など20年近く、多くの舞台に立ってきた。こうして実績を積みながら、日本を代表するミュージカル俳優としての地位を築く一方、2016年には「アップル・ツリー」で演出家デビューも果たす。以来7年、俳優にとどまらず、兼演出家という〝二刀流〟に挑んできた。「俳優と演出家。もし、今、どちらかひとつを選べと言われたら、演出家の道を選ぶかもしれませんね」衝撃的な発言ではあるが、この〝宣言〟通り、今、準備を進めている企画がある。オーケストラコンサートでは、自身初となる〝ボーカル兼演出家〟の大役を務めるのだという。24

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