その通りだと思いました。それとね、急性心筋梗塞の前後でもやっぱり違うんですよ。~3人、図録を見ながら~山本 心筋梗塞直前に描かれた(2022−07−03)は、ものすごくかっこいいと思う。手数が少ない、水墨画みたいな。珍しい作品ですよね。~平林、小野、大きく頷く~平林 違いますね。全然。心筋梗塞後の作品がまた楽しい。(2022−08−10)には謎の可愛いキャラクターが登場(笑)。これにはびっくりでした。小野 東博ではグッズになっていましたね。どこかで見た気がするんですよ。探しましょう(笑)山本 秋に近づくにつれ元気を吹き返して、ますます自由(笑)。小野 でも最後、102枚目は原点に戻ってる感じがします。ちょっと不思議。制作期間のご自分のことを「アスリート」とおっしゃっていますね。山本 絵だけじゃなく文章もすごい量を書いてるんですよ。連載を山のように抱えながら、でも今回は封印されていた。平林 タイトルに頭をもっていかれなかった分、私は楽に見れました。思い出したのが、横尾さんが画家になるきっかけとなった1980年のピカソ展(ニューヨーク近代美術館)でのこと。ピカソの絵は、日付が近くても描き方が全然違ってて、横尾さんに画家の自由さを印象づけたそうです。今回、横尾さんの絵にそれを感じますよね。山本 横尾さんにとっての宿題だったのかな。約40年前にピカソから受けたインパクトへの宿題返し。絵の様式に限らず、1日違えば別の人っていう…。2022年夏、急性心筋梗塞の前と 後で見る横尾さん山本 批評家の浅田彰先生がこんなことを話しておられました。 「『GENKYO』『寒山拾得への道』の両展覧会では、人が弱っていく老愁のかっこよさを感じた。けれど今回は生命力が漲っている」。表現方法が主でした。光を感じるような金色が多いのも特徴の一つだったかもしれません。そこからの変化が、日を追って見られるところとか。日によって描く絵が変わるので。山本 泳いだり、走ったり、空も飛ぶ(笑)。脱線する。どこまでも。そしてまた戻る。その自由さかな。平林 “コラボ”も自由ですね。あらゆる領域とのコラボレーション。寒山が持つトイレットペーパーに注目して見ても面白いですよ。ゴールテープになっていたり。便座も記号みたいにいろんなものに化けます。山本 遊んでますよね。平林 横尾さん自身が面白がってますね。今回の作品はタイトルが全部日付でしたね。小野 展示も日付順でした。山本 日付と併せて見る面白さもありましたね。横尾さんは、絵を言葉で表現することを嫌うところがあるけれど、文学的センスがあるのでタイトルがオシャレ。僕は好きなんです。1616
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