KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年11月号
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大鋸は木や竹でつくられた工の字型の枠に刃と弦をつけた単純な構造で、弦をねじると支柱の反対側の刃がピンと張るしくみです。解体して持ち運ぶことができ、また簡単に組み立てられます。また、大鋸の刃の向きには中央から二方向に分かれたかたちと一定方向に向いたかたちの二種類があります。石峯寺の大鋸は前者の振り分け型で、二人で交互に引きあって使用します。十六世紀になると一人で使える前挽大鋸が登場し、やがて大鋸にとって代わりました。道具としての大鋸は姿を消しても、地名や「おが屑」などの言葉にその名残がみられます。(学芸員・植村昌子)兵庫県石峯寺の大鋸(室町時代、復元品)。刃の向きが中央から分かれている大鋸で製材したとみられる挽き痕が残る古材(室町時代、非公開)神戸市中央区熊内町7-5-1Tel.078-242-0216休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)開館時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)https://www.dougukan.jp/ TAKENAKA CARPENTRY TOOLS MUSEUM竹中大工道具館13

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