「歴史の旅へ」コーナー中央に展示されている巨大な製材鋸「大鋸」。わが国の製材技術に革新をもたらした歴史上とても重要な大工道具です。展示品の大鋸は神戸市淡河町にある古刹石峯寺の伝世品をモデルに製作されたもの。長さ二メートルを超える国内最大級の大鋸です。古来より森林資源に恵まれた日本では、千年以上ものあいだ木を割って板や角材をつくる打うちわり割製材がおこなわれていました。打割製材には木目の通った大木が必要でしたが、中世ごろから良材が枯渇しはじめ、室町時代に中国から大鋸が導入されました。大鋸の普及によって、硬い木や木目がねじれた木など多様な樹種が利用できるようになり、薄い板や細い角材をつくるのが容易になりました。このような中世後半の製材技術の変化と台鉋の登場が、建築のかたちに大きな影響を与えたと考えられています。それまでは太く大きな部材を使う建築が主流でしたが、細く薄い材を多用する繊細な建築が多くなっていきました。製材技術の大革新 大鋸の使用風景常設展B1F「挽割製材への転換」大鋸(奥)と前挽大鋸(手前)―石しゃくぶじ峯寺の大おが鋸竹中大工道具館邂逅―時空を超えて第二回12
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