KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年11月号
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(図3)診察種類別国民医療費出典:厚生労働省〔令和2(2020)年度〕国民医療費の概況42兆9,665億円診療種類別国民医療費一般診療所3,707(0.9)病院159,646(37.2)病院63,069(14.7)入院163,353(38.0)入院外144,460(33.6)入院時食事・生活7,494(1.7)訪問看護3,254(0.8)医科診療307,813(71.6)薬局調剤76,480(17.8)療養費等4,602(1.1)歯科診療30,022(7.0)806040200(%)100一般診療所81,391(18.9)鈴木 医療費増大の主たる原因は医療の高度化、薬剤費の増大、高齢者人口の増加であり、国民医療費の18.9%を占めるに過ぎない一般診療所にかかりつけ医機能を持たせて抑制可能なのか大いに疑問です(図3)。「医療費抑制が最重要課題なのか?」というコストの問題、「ゲートキーパー機能とは?」というアクセスの問題、「国民が求める医療・医師像とは?」というクオリティの問題を考えていくならば、医療を経済に合わせるのではなく経済を医療に合わせるべきではないでしょうか。にするのか、という問題に関しては医療者視点の欠如と言わざるを得ません。受診時定額負担についても、経済的理由で受診を控えた者は1〜2割程度で、受診抑制は低所得者層で多い、という調査結果が出ていますし、一律に自己負担率を上昇させると、本当に必要とする人が適切な医療を受けられなくなる一方で、依然として無駄な医療が提供され続ける可能性がある、という問題点が指摘されています。─そして、財務省主導のかかりつけ医制度で医療費抑制が実現できるのでしょうか。─患者、つまり国民と財務省の間には少し意識や認識の違いがあるようですね。そんな中で財務省の思惑通りのかかりつけ医制度が導入されると、どのような問題が起こり得ますか。鈴木 財務省が描くかかりつけ医制度は、医師・医療の国家管理、医療費適正化=抑制、アクセス制限:登録制・人頭払い制と思われます。登録制・人頭払い制度は大きな問題があります。医療を必要としない人への強制的な負担や、フリーアクセスの制限という問題は正に患者視点の欠如で、包括払い超過分の医療費は誰が負担するのか、時間外対応は誰がどのよう107

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