KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年11月号
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(図1)「かかりつけ医」を取り巻く流れ出典:兵庫県保険医協会 理事会特別討論講演詳録「かかりつけ医について考える」本は受診回数が多い分早期発見・早期治療で単価が低い、という特徴がありますので、結果的に医療費抑制の効果が見込めるのか疑わしいところです。─かかりつけ医制度に関するこれまでの経緯を教えてください。鈴木 かかりつけ医を取り巻く流れは図1の通りで、1983年の「医療費亡国論」が発端となり、厚生労働省では2004年の家庭医構想、2016年の紹介状無し受診負担などの政策を進めてきました。これに対抗する形で、日本医師会は1992年にかかりつけ医制度を提唱、2016年にかかりつけ医機能研修制度を発足させています。そしてこの間、日本プライマリケア学会、家庭医療学会、総合診療医学会の発足、臓器別診療科への移行に合わせた「総合診療部」の創設、日本プライマリケア連合学会への統合などがありました。政府はこれらの学会の動きを新専門医制度上で位置づけ、初期に総合的な診察能力を持つ医ていますが、医療費抑制がその目的であることは明白です。─患者負担を増やすと受診回数が減り、医療費抑制に繋がるという考えなのでしょうか。鈴木 財政当局は以前より国際比較における日本の1人当たり受診回数の多さを問題視しています。しかし、OECD各国の外来受診回数と1回当たり医療費には負の相関があり、日105

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