KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年10月号
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屋市が市制10周年を迎えた年、1950年の12月に芦屋国際文化住宅都市建設法案は国会において可決されたが、その成立には市民による住民投票で過半数の賛成票が必要で、1951年2月11日にそれをおこなったところ、賛成が77.6%を占め、芦屋国際文化住宅都市建設法は無事成立した。法律により環境が守られるようになったこともあり、芦屋は洒脱な洋館や豪勢な邸宅が点在し、阪神間モダニズムの時代の文化景観を残しつつ、上質な邸宅街として名を馳せ、そのイメージに違わぬまちなみが整備されていった。1971年に「総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想」を策定。高度経済成長下での過剰な都市化を抑制し、住環境を保全し育成するための施策を実行した。また、1973年に制定された都市計画法による用途地域のゾーニングにおいても、泉佐野市から姫路市にかけての大阪湾~播磨灘の臨海部において、工業地域・準工業地域がない市町は芦屋だけ。また、商業地区も駅前など限られた市域にしかないなど厳しい規制をかけた。現在、浜芦屋町においては、西側は第1種低層住居専用地域、東側は第1種中高層住居専用地域、国道43号沿いは第1種住居地域、芦屋公園は風致地区になっている。そんな芦屋市の中でも、浜芦屋を含む芦屋川沿岸の地域は「河岸の松や桜の並木と宅地内の生垣、樹木及び御影石の石積等が一体となった緑豊かな特徴ある景観」の保全を目的として芦屋川特別景観地区に指定され、壁面のデザインから屋根の形状に至るまで細やかな規定により周囲の景観との調和が求められている。そして、芦屋公園の美しい松林や、浜辺の記憶をとどめる爽やかな雰囲気といった〝ここにしかない〟得難い環境が地域の人たちの手により大切に守られ、磨かれており、それらは浜芦屋の財産として、次の世代へと受け継がれ、そして愛され続けていくだろう。93

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