なので、こういう切り口でマクベス夫人を舞台にするって聞いたときにびっくりしました。今回は、物語の中で「母」というもうひとつの顔を持つことになっています。それによって彼女の人生が大きく変わっていくという設定にも、感心していただけると思います。内側のエネルギーがちゃんとしていなければ伝えることができない。そう感じています。悪妻のイメージですが、どう演じたいですか?今回のレイディは、はじめから『悪妻』と想像しなくてもいいと思います。彼女の行動とか思い、なぜ彼女がこういう捉え方をしたのかなどが丁寧に描かれているので、見た人が「やっぱり悪妻」と思うのか、「方向を間違った人」と捉えるのか「悲しい人」なのか「強い人」なのか。私がどう演じるかということよりも、作っていく中でどんなレイディになっていくのかを大事にしたいと思っています。私は台本のレイディに誠実でありたいと思います。悪妻かどうか。ご覧になった方がどう感じたかを、逆に伺ってみたいです。テレビ、映画でもご活躍ですが、舞台の仕事への思いをお聞かせください。元々、はじまりが舞台なので、舞台に立つのは初心にかえることでもあります。舞台では、現在の自分を発声や体力を通して知ることができます。低下している点は補う策を、良い点は保つことを考えます。舞台には「必ず出ていたい」と思っています。京都での公演は初めてなんです。歴史ある京都で、海外の古典を演じることにワクワクしています。そして、繰り返しますが(笑)、アダムさんと同じ板の上に乗って舞台を作ります。ぜひ、劇場で生で感じてください。舞台『レイディマクベス』/あらすじ戦争が続いているとある国。レイディマクベスは元軍人であり、自ら戦場に赴く兵士だった。マクベスとは、ともに国を守るために闘う同志として知り合い、恋に落ち、娘を授かります。しかし彼女は産後、戦場へ戻れなくなり、母として、家庭を守ることに専念しています。彼女はそんな現状に満足できないまま人生を歩んでいます。戦いは相変わらず終わりを迎える様子もなく、夫マクベスは戦場で次々と勝利を収め、国を導く存在となります。彼女は常に忘れられない若き日に描いた夢があります。それは「夫と共に国を治める」ということ。そんな時、統治者ダンカンが血縁者以外から後継者を選ぶと宣言します。彼女の脳裏に忘れずに在った夢であり、夫婦の野望、そしてその夢が今、まさに手に入りそうになった時、二人は望むものを手に入れることができるのか…。32
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