喋ったり、ご飯を食べたり、生活の基本的な場面でとても重要な役割を担っているのに、痛いむし歯ができたときしか気にかけない口の中の健康。どんな病気があるのでしょうか。治療法は?長谷川巧実先生にお話を伺いました。―歯科口腔外科では口の中やその周りなど、どこからどこまでの範囲を扱うのですか。一般的な歯科医院で扱う歯に加えて、口唇、頬粘膜、上下の歯茎、上顎の真ん中の部分「口こうがい蓋」、舌の下の部分「口腔底」、顎骨、顎関節があります。舌については手前部分およそ3分の2が口腔外科で扱う範囲です。また3つある唾液腺のうち顎下腺、舌下腺は口腔外科でよく扱う範囲ですが、はっきりとした境界が決められているわけではありません。神大病院でも患者さんにとって最良の方法を選択できるよう、耳鼻咽喉・頭頚部外科の先生方と協力しながら治療に当たっています。―来院される患者さんで命に関わる病気はありますか。大学病院ですから患者さんは一般の歯科、口腔外科からの紹介で来院されます。命に関わる病気は、口の中にできる悪性腫瘍「口腔がん」で、体にできる全部のがんの約2パーセント程度を占め、「希少がん」と言われています。目安として、2週間以上の長い期間、口内炎などの傷が治らない場合は疑いがあるかもしれません。もちろん診察・検査の結果「大きな病気ではないので大丈夫ですよ」という患者さんもたくさんおられます。―口腔がんとは舌にできるがんですか。口腔がん全体の約6割を占めるのが舌にできるがんです。次に多いのが上下の歯茎にできるがん、頬や口腔底にできるがんなどがあります。粘膜にただれやしこり、痛みや出血を伴う場合もあり、進行すると首のリンパ節に転移することがあります。ふだんは自分で口の中を神大病院の魅力はココだ!Vol.25神戸大学医学部附属病院歯科口腔外科長谷川 巧実先生に聞きました。112
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