表1) 英国GP制度導入の問題点患者の待機時間が長くなる10分に1人の診察で基本は予約制かかりつけ医の選択と登録の問題フリーアクセスではなくなり、かかりつけ医の変更も基本的にできないので、医師選びを間違えば患者は一生不幸に医師以外による医療行為の問題リフィル処方、看護師の診療、受付でのdo処方、症状により薬局をすすめられる専門の家庭医が少ない欧米各国ではもともと専門医として家庭医が約半数育成されているが、日本では総合診察専門が「19番目の専門医」として2015年に位置づけられたばかり総合診療医が人気となる雰囲気が醸成されていない日本の土壌では家庭医に必要な総合診療のスキルを持つ医師が育ちにくいセカンダリケアへの対応の問題トレーニングを受けていないGPには対応困難日本ではさまざまな専門医が開業しているため現状でもセカンダリケアが実践できている医療機関の自由開業制の問題開業の可否は地域のニーズに応じるため、自由開業制ではなくなる診療所の長時間・時間外対応が難しい日本では高齢医師が多いので、平日8時~18時半の診察や、24時間365日の時間外対応には限界があるプラクティショナーは検査依頼、診断、薬の処方なども担います。薬剤師は、調剤以外にも症状に応じた市販薬を販売しています。「多職種協働+多職種参加型おり、一定の研修を受けたプラクティスナースは風邪などの軽度な疾病や、高血圧や糖尿病などの慢性疾患の対応が可能で、専門の修士コースを修了したナースのチーム医療」は英国医療の特徴の一つです。─もし日本にイギリス型のGP制度を導入するとなると、どのような問題があるでしょうか。生島 (表1)のような数々の問題が考えられます。かかりつけ医でも診察は基本予約制になりますから、待機時間はやはり長くなるでしょうし、発熱外来などの対応も難しくなるでしょう。かかりつけ医も患者それぞれが選択して登録することになりますが、そもそも日本では家庭医や総合診療医の数が少ないのが現状です。医療の質の面からも、医療機関側の実務的な面からも、GP制導入は現実的に難しいものがあります。─英国と日本の制度を比較して今後のかかりつけ医制度をどのように考えますか。生島 医療制度は、歴史、経済、風土、文化等の所産であり各国固有の形態をとるため、他国の制度より普遍性を見出し取り入れるべきところは取り入れる必要がありますが、英国のGP(表1)英国GP制度導入の問題点98
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