兵庫県医師会の「みんなの医療社会学」 第一四六回り、国民一般にほぼ無料で医療サービスを提供できる国営システムです。一方で民間保険や自費によるプライベート医療も行われ、国民医療費の約1割強を占めております。英国民は救急を除きあらかじめ登録した家庭医=General Practitioner(GP)の診察を受けます。GPが必要と判断しないと専門医を受診することができません。これがゲートキーパー制度であり、患者は日本のように受診する医療機関や医師を選ぶことができません。─NHS制度にはどんなメリットがありますか。生島 医療費は税金で賄われているので、保険料負担も窓口負担もないためためらわずに診察を受けることができます。また、病院や診療所は国によって計画的に整備されるため、地方でも安心して医療を受けることができます。患者が振り分けられるので、特定の病院や診療所に患者が集中することもあ下で市場競争原理を導入したNHS改革が始まり、1997年に発足したブレア政権では医療サービスのスタンダードを示し、2010年代のキャメロン政権からは治療から予防へとプライマリ・ケアを前面に押し出すようになり現在に至ります。─NHSの特徴は何ですか。生島 税財源を基礎としてお─かかりつけ医制度の導入が議論されていますが、そのモデルといわれる英国の医療制度にはどのような歴史がありますか。生島 英国の医療制度National Health Service(NHS)は原則無料で、ほぼすべての医療サービスを提供することを基本理念として1948年に始められました。1980年代のサッチャー政権英国のかかりつけ医制度と医療制度について兵庫県医師会 医政研究委員会委員いくしま内科クリニック 院長生島 雅士 先生96
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