KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年9月号
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Q.この小説は神戸三宮駅からスタートします。神戸を知る人は風景を思い浮かべながら読むことができますね。最近の私の小説の舞台は、だいたい神戸です(笑)。普段見ている町だからっていうのがあるのですが、今回は理由がもうひとつあって、主人公・岡田杏のイメージが神戸に合っていたんです。私が神戸に感じているイメージは、レトロとモダンが入り混じっていて、新しいけど古い。古いといっても、浮世絵じゃなく油絵のような…。杏はもしかしたらこの町のどこかにいるんじゃないかと。ならばきっと阪急電車で通勤しているはずだと思って、阪急六甲駅近くに住んでもらいました(笑)Q.杏に限らず、登場人物が、みんなそのあたりに普通にいる気がします。みんなわがままなんです。それぞれ自分の好きなものがあって、基本そんなに成長しない(笑)。そこが普通なんだと思います。数年前、ちょっと疲れた時に何か読もうと自分の本棚を見てい最新刊『愛されてんだと自覚しな』は、全国の書店員からの「面白かった!」という声が多く、発売即重版! 前作『君の名前の横顔』では、『第3回 読者による文学賞』を受賞! “書店員”“読者”という本好きな人たちに愛される作家、河野裕さんにお話を伺いました。河野さんご自身は、“愛されてんだと自覚”しているのでしょうか??1000年前にも1000年先にも飛んでいける。小説だからできること。小説家 河野 裕さん『愛されてんだと自覚しな』(文藝春秋)70

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