KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年9月号
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Q.学校の音楽の時間、そんなふうに教わりたかったです。僕は、先生から音楽を指導されるのが嫌いだったの。決められた「楽譜どおり」が嫌い。音楽は、国語、算数とは違う。自分で覚えるものだと思ってる。教則本なんかも嫌いで、とにかく楽器は吹いて覚える。楽譜が嫌いってことじゃないよ。バッハの楽譜は幾何学模様みたいで美しい。音符がそこにある意味を考えて、自分なりにイメージして演奏したい。バッハは好きでよく吹いてるんですよ。でも30分後にはスウィングしてたりする(笑)。アフタービートにアクセント入れてオリジナルバッハ(笑)Q.練習はいつしていますか?目覚めてすぐに楽器を持ちます。寝起きに出す音が1番好き。いい音なの(笑)。寝ぼけ眼で、初めは優しい音色。出したい音を好きに出してる。途中スケール入れたり、メロディになってができるかもしれない!という好奇心が勝ったんですね。結果、ウインド・シンセがSQUAREに新たな音楽をもたらしたのは間違いない。それと、「サントリーホワイト」のCMに起用されて、見たことのない楽器がテレビで流れ注目を浴びた。ラッキーでした。Q.今では楽器店にも並んでいます。「電子楽器は誰が吹いても同じ」という声もあった。変化する時には、必ずアンチがいるからね。何十台も吹いたけど、相性も個性もあって、初期のウインドシンセは、そういう意味では魅力のある楽器でした。それに、なんかここ(胸に手)にきた。必死に練習して、僕なりの音の出し方を掴んで。付き合い方は、デジタルもアナログも同じです。僕は自分らしさが出せない楽器は愛せない。Q.“自分らしさ”といえば、Saxは伊東さん、本田さん、宮崎隆睦さん。みなさん個性のある奏者ですね。クセがありますね(笑)。基本的には自分の音色で歌えているなら、それでいいと思う。僕と本田のSaxは違う。アプローチの仕方も違う。尊重し合うのが音楽。バトルじゃない。どんなミュージシャンでも、いいものを作りたくて演奏します。だからよくないものは回避する特性があると思うんですよ。お互いが理解していればいい方向に向かう。Q.向かう方向は同じ?そう信じる。じゃないと、本番一緒にやれないでしょ。本番は何が起こるかわからないんだから(笑)。でもそこがいいの。完璧なんてつまらない。フジコ・ヘミングのピアノは何故いいのか。ここ(胸に手)で演奏しているからです。演奏を聴いて涙する人がいるのはここ(胸)です。ミスタッチは多いけど、そんなことは重要ではない。「上手いですね」「見事ですね」より「音に心がある」って褒められたのが、僕はこれまでで1番嬉しかった。望んでいる音楽32

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