寡かさく作を理由に断られます。そこで一面識もない是秀宛に切々と願いを込めた手紙を代筆してもらい戸籍謄とうほん本まで付して送りました。その熱意に打たれた是秀は、大おいれのみ入鑿一組を鍛え上げ、夜行に乗り大阪まで届けます。是秀の鑿一組の価格は日当一円五〇銭の時代に一五〇円もしました。江戸熊はこの大金を即払い。質入れで用意したのです。一方、是秀も寡作のため貧しており、大阪への汽車賃を質で工面していました。質札を見せ合った二人は互いの心意気に表情を崩して理解し合ったといいます。この江戸熊の鑿、江戸熊の死後、戦災に遭うなど数奇な運命を辿りましたが、最後は竹中大工道具館に安住の地を見つけました。B2階の名工品コーナーでぜひ実物をご覧ください。(主任学芸員・坂本忠規)神戸市中央区熊内町7-5-1Tel.078-242-0216休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)開館時間: 9:30~16:30 (入館は16:00まで)https://www.dougukan.jp/ 江戸熊の鑿TAKENAKA CARPENTRY TOOLS MUSEUM竹中大工道具館17
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