KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年9月号
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―院内のほとんどの診療科と関わっているのですね。病気が見つかると内科的に薬で治す、外科手術をする、低侵襲のIVR治療をする、強い放射線を当ててがんをやっつけるなどいろいろな治療法があります。治療方針のガイドラインが学会から示されていますがあくまでも指針です。そこに経験で分かったこと、患者さんの状態や意志などを加味しながら関係する診療科の医師や看護師、スタッフが集まりカンファレンスを重ね、患者さんに最適な治療法を提案し、患者さんの承諾を得たうえでチームで医療を進めます。診断して治療に進み、その後の経過観察までの過程を分業する集学的医療です。神戸大学病院では各診療科がうまく連携を取り、レベルの高い集学的医療が確立されています。その中で内科系と外科系の中間的な立場で各診療科をサポートし、橋渡しをするのが放射線科の役目だと思っています。Q.村上先生もオフを存分に楽しんでおられるのですね。A.ところが私自身はどうにもオン・オフの線引きをするのが苦手で(笑)。夜遅くまで病院にいて仕事や研究をしており、大阪の自宅へ帰るだけの毎日です。土曜日も研究会などがあり…たまの日曜日だけはゴルフでオフを楽しんでいます。Q.これからの放射線科を担ってもらうために!学生さんたちにひとこと。A.診断には理学的検査、血液検査、画像診断の3本柱があり、治療には内科的治療、外科的治療、精神療法、放射線治療、IVRの5本柱があります。放射線科はその中の画像診断、放射線治療、IVRという3つを担っており、非常にやりがいのある分野です。重要なポジションでありながらオン・オフがはっきりしています。昼間は検査に大忙しですが、一部のIVRを除いて、夜間はオンコールで対応できるというのは若い人にとって大きな魅力だと思います。Q.放射線医学を専門にされた理由は?A.「大学卒業後は出身の大阪に帰ろう」と阪大を見に行くと放射線科が充実していて「ここへ来よう」と決めました。当時の日本ではまだ他の診療科の先生が「画像診断をついでにやっている」というような状況でしたが、これからは日本の医療も放射線科のポジションが重要になると確信していました。今ではやることが多すぎて、忙しすぎて。Q.なぜ医学の道を志されたのですか。A.高校生のころ、何となく「工学部でも行こうかなあ」と思っていました。ちょっと成績が上がり、先生から「医学部も行けるんちがうか」と言われて「そうします」と受験し、よく分からないままに医学の道を志しました。動機はあまり自慢できないですね(笑)。でも今は、人の役に立てる、バラエティーに富んだやりがいのある仕事である医学に携わることができて、勧めていただいた先生に感謝しています。村上先生にしつもん103

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