2020年に保険適用範囲が広がり、例えば乳がんの手術をした患者さんが残っている乳腺のがんや卵巣がんが心配など、一定の要件を満たせば保険診療で検査を受けられるようになりました。特定の遺伝子変異が認められれば、乳腺や卵巣・卵管をがんが発症する前に予め切除するのも選択肢の一つになります。―一般的に大切なのはやはり検診ですね。胃がん、大腸がん、肺がん、子宮がん、乳がんの5つは検診が勧められています。中でも乳がんはマンモグラフィーなどの検査だけでなく、触診によって自分でも見つけられるがんです。他の臓器に転移してからの治療は難しくなります。せっかく早期発見できるのですから、検診や自己触診で異常があればぜひ専門医を受診していただきたいと思います。國久先生にしつもんQ.健康法やストレス解消法は?A.できるだけ運動をすること。と言っても、特別に時間を取るのは難しいので、ジョギング程度ですが走るようにしています。体を動かせばストレス解消にもなります。Q.日々、乳がんの患者さんと向き合うにあたって、心掛けておられることは?A.乳がんが見つかると皆さん不安になります。その不安を解消してあげることが大事だと思っています。患者さんの不安は病気のことだけではなく、仕事や家庭のこと、子どもさんのことなどいろいろです。医者一人で対応できるものではなく、看護師さんやソーシャルワーカーさん、カウンセラーさんなどサポートしてくれる人たちと協力して最善の対応ができるよう心掛けています。Q.外科医の道を選び、中でも乳腺外科を専門にされた理由は?A.手術をする外科医には憧れがありました。いろいろな手術のトレーニングを受けていたのですが、乳がんは診断、手術、化学療法など複雑でどうしたらいいのか分からず、2008年、神大病院に乳腺外科の医局が開設されたのを機にちゃんと勉強しようと相談しました。当時はまだメンバーも少なく「興味があるのならぜひ!」と…そのままずっと居続けることになりました(笑)。非常に奥が深い分野で、今ではやりがいを感じています。Q.なぜ医療の道を志されたのですか。A.高校生のとき進路を考えるにあたって「将来、仕事をするのなら人の役に立つ、いいことをしたい」と思いました。経験も知識もない高校生ですから、目的が分かりやすい医療の道を志し、医学部を受験しました。99
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