今年6月、政府が6年ぶりに水素基本戦略を改定し、今後15年間に官民で15兆円を超える投資を行うと発表し、改めて脚光を浴びている水素。2017年に策定された水素基本戦略の経緯を振り返ると、政府は2030年には水素の発電利用などに伴う大幅な需要拡大を計画。これに伴い大量の水素の調達先として海外の未利用資源から水素を製造し、液化水素運搬船で日本に運ぶ計画が打ち出された。その担い手が、今回、取材した川崎重工業(中央区東川崎町)だ。同社は、2030年までに水素エネルギー事業を大きな柱の1つに据える「グループビジョン2030」を掲げるとともに、様々な企業と協力して「技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(略称HySTRA・ハイストラ)」を設立し、昨年、世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」による液化水素の国際海上輸送に成功した。また、今年6月には大型液化水素運搬船用の貨物タンクの技術開発を完了したと発表。着実に水素社会へのステップを踏む川崎重工業のキーパーソン、水素戦略本部 副本部長の山本滋氏に水素の魅力と川崎重工業が描く未来について話を伺った。未来を-VOL.3-駆ける神戸の新風神戸の港から“開拓”する究極のクリーンエネルギー社会34
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