KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年8月号
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ロードショーで観たジャッキー・チェンとかスピルバーグとか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なんかが好きだったんですけど、『岸和田少年愚連隊』を観てめちゃくちゃ好きになって、井筒作品にのめり込むようになりました。この作品を観なかったら、今の職業には就いていないと思います。僕らの世代は『岸和田少年愚連隊』のファンが多くて、同世代の映画監督はみんな大好きだと思います。青春群像劇ですけれど、人間の描写が特別なんだと思います。Q.井筒監督との出会いは?高校生の時、僕の地元で監督の講演を聞く機会がありました。話を聞いていてやっぱり映画の世界に行きたいと思って、思いきって「僕、映画の仕事をしたいんです」と話しかけました。ちょっと怖いなと思ったけれど(笑)、それよりも「今だ!」と思って。すると「今度学校を作るからおいで」と、ちゃんと未来につながる答えを返してくれました。その時、あったかい人だなと感じました。その後、監督が講師を務めるクリエイターの養成塾なんばクリエイターファクトリー(2006年に閉校)の2期生となって、それから現在までずっとお世話になっています。Q.先生と生徒になったんですね。20年を経て現在はどんな関係ですか?変わらないです。大人になったので“先生”から“親方”になったかな。今でもいろんなことを教えてくれる先生です。例えば物事の見方。正しいか正しくないか、本物か偽物か、見えているものだけを見ていてはいけないとか。そういうことをすごく言われます。あとはトライアンドエラー。「やってみろ」と。こんな年齢になっても変わらず温かく、時に厳しく、どんな時も愛情深く見守ってくれる。気の抜けない、緊張感のある親方です。それから、親方の下に兄がいっぱいいます。映画の世界で仕事をしている頼れる兄たちとの関係も、20年前に『パッチギ!』の制作スタッフとして現場に入れてもらった頃から変わっていません。Q.主人公・三上役の塩谷瞬さんも『パッチギ!』に出演していましたね。“違和感”が絶妙でした。そうなんです(笑)。塩谷さんは昔から不思議な雰囲気がなんか独特で、ココにいてココにいない、みたいな。ふわっとしてる。そしてすごく真面目でいい人。プロデューサーに相談すると大賛成、すぐに塩谷さんに連絡しま映画で伝えたかったこと32

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