KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2023年8月号
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Q.ジョン・ウィリアムズと聞いて、1番に思い浮かぶのはどの曲ですか? 大のハリー・ポッター好きなので『ハリー・ポッター』です。 小さい時からバイオリンばかりやってきたけれど、10歳の頃かな、『ハリー・ポッター』と出会って、16.17歳くらいまで夢中でした。 私のいる世界に魔法はないけれど、面白いことに共感できることはたくさんあって。魔法使いにとっての“杖”は、私にとっては楽器だと思っていました。どんな環境にあっても光は必ず見えてくるよ、っていうメッセージには励まされたし、人と人との絆、親子もそう、友人関係も、それがあって生きていることも教えられました。本当にずいぶんお世話になりました(笑)Q.本で見ていた大好きな世界。映画で見てどうでしたか?映画も大好きになりました。特に物語の中の重要な場所、魔法学校のシーンは、天からの贈り物!と思ったくらいです。流れる音楽も、それはもう本当にハリー・ポッターの世界でした。音楽も大好きになって、そこでジョン・ウィリアムズの名前を知りました。 『スター・ウォーズ』『E.T.』はじめ、ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグの作品は映画で観ても素晴らしいけれど、音楽単体で聴いても魅力的で、私の中では、チャイコフスキー、ベートーヴェン、ブラームス、ジョン・ウィリアムズ…。偉大な作曲家として並んでいます。Q.お父様は映像音楽も多く作曲しておられる作曲家の服部隆之さん。ジョン・ウィリアムズの世界と共通していますね。父が作曲したサウンドトラックを「ちょっとこれ聴いて」なんて言ってくることがある家庭です。「AとBどっちがいい?」と訊かれて、母と2人で率直な意見を言う。あくまでも家族としてですよ(笑)。シーンに合わせて時間が限られていて、22秒8とかね。細かい時間の枠に起承転結を入れたフレーズを書くのが劇伴(劇中に流れる音楽)。父のそういう仕事を見てきました。映像があっての音楽ですが、“いい音楽は単体で聴いても素晴らしい”というのは、子どもの頃から感じていたと思います。それが、映像と合わさった時に、さらに感情が揺さぶられるというのは、父が書いた音楽をドラマという作品として見ることで経験していたと思います。Q.好きな音楽はクラシックですか?ジャンルの話をすると、私の好きな作曲家の1人ショスタコーヴィチも、若い頃に劇伴を書いていました。“クラシックの音楽家”と認識されていると思いますが…。構造の違いやそれぞれにルール、しきたりがあるけれど、音楽を職業にした以上、ジャンルの境目はないと思っています。某音楽番組でラップやヘヴィメタルのミュージシャンと共演したのですが、これまでにない経験で映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズとの出会いヴァイオリニストとして考える“演奏家”の仕事27

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